メイミとゲドの関係。
メイミはコック。自分のレストランを持ちたいと夢見る料理人。
ちょっとぶっきらぼうだけど、そこはそれ、味に頑固なのは父親似か?
・・・今攻略本見てうをっと思う。
そうか、メイミって小さい頃、重い病にかかっていたんだね。
見えない。(をい) いや、健康なのは良いことです。
さてゲドとは?
メイミはゲドを敵だと思ってます(笑) 訳はSSで。
ゲドはメイミをコックだと思ってます。(笑。まんま〜)
ほら、うちとこのゲド隊長は食べられればなんでもいい人だから。
一応、味は悪くないと思ってるんじゃないのかな?
ハートフル
メイミには敵がいた。
それはハルモニア辺境警備隊、第十二小隊隊長、ゲド。
気が付いたのはほんの偶然。
十二小隊の面々がメイミの経営する本拠地のオープンカフェに食事をしに来た時。
あそこまで無表情に食事をする人を、メイミは初めて見た。
父親も料理人なメイミは、食事がどんなに大切な、命の基本であるか知っている。
それに、美味しい料理は無条件に人を幸せにする。
まぁ、まずい料理はうむを言わさず人をしかめっ面にするけれど。
ともかく。
メイミ入魂の通のラーメンは、多かれ少なかれ食べる人に反応を与える物なのに、あの人達は、いやあの人は、全く顔が変わらなかった。
メイミだってコックとして長く修行してきた。
どんなに誤魔化したって、その人が美味しいと感じているか、美味しく無いと感じているか、わかる。
十二小隊の他の人達は、美味しいと言ってくれる人も、お代わりしてくれる人も、一見無表情だがよくよく見ると口の端が微妙に上に上がってる人もいる。
なんにせよ、食事の時というのは、場がなごむものだし、食事すれば体温が上がるから顔だってちょっとは上気する。
けれどゲドは、本気で、全く、何にも、表情が変わらないのだ。
不味そう、という訳ではなくて、無表情。その後の観察によると、どの料理でも同じ。
『ゲドさんの表情を変える料理を作る』
これが、目下のメイミの目標だった。
「よっ、メイミ。にくまんくれよ。」
気軽に声をかけてきたのはエースだった。
なんだかいつも、城をうろうろしているらしく、自分のためか、それとも人にあげるためか、ケーキなどをよく買ってくれるので、レストランにとっては上客だ。
「はい。熱いうちに食べて。」
メイミは熱々のにくまんをエースに渡した。そして、ふと、エースも警備隊の隊員であることを思い出した。
エースなら、ゲドの好みを知っているだろうか?
「ね、エースさん?」
「ふあ?」
すでににくまんを頬張っていたエースが、くぐもった声で答える。
「ゲドさんの好きな食べ物って何?」
「はぁ? なんだお前、大将のこと狙ってるのか?」
からかうように言われ、メイミは顔を赤くした。
「違う! 私は、ゲドさんが『美味しい』って、表情を変える料理を作るのが目標で!
同じ隊にいるなら、今までにゲドさんが『美味しい』って言った食べ物の記憶無い?」
どこかムキになってメイミはまくしたてた。
エースは面白そうにメイミの顔を眺めてた後、腕を組んで考え込んだ。
「大将の好きな食べ物ねぇ・・・」
「・・・」
期待の眼差しで待つメイミ。
「・・・・ダメだ。思い出せねぇ。あの人、食事に好みつけたこと無いんだよ。
平原の蛇だって、仕事打ち上げの豪勢な料理だって、同じ顔して食ってたっけ。」
エースは眉間に皺を寄せて、真剣に考え込んでいたが、やがて組んでいた腕をはずし、大げさに肩をすくめた。
「あ。そう。」
今度はメイミが考え込む番だった。
プライドにかけてやりたくなかったが、ゲテモノや不味い食べ物で表情を変えるという手は使えないことがわかった。
じゃぁ、やっぱり、美味しい食事・・・それとも、食事を楽しむ雰囲気・・・?
眉間に皺を寄せて考え込むメイミ。
ふいにエースが手をぽんっと叩いた。
メイミがエースを見れば、エースはいたずらを思いついた子供のような表情を浮かべている。
「そうだメイミ。大将が間違いなく顔変える料理があるぜ?」
「え?」
ちょいちょい、と指でメイミの顔を近くに寄せ、エースはメイミの耳元に何か呟いた。
「まさか・・・そんなことで・・・」
半信半疑のメイミ。
「ま。騙されたと思ってやってみなって。」
楽しそうなエース。
「健闘を祈ってるぜ。」
ひらひらと手を振って去るエースの後姿を、メイミは胡散臭げな目で見つめていた。
「さて、と。」
お昼にあと1時間。そろそろレストランが混み出してもおかしく無い時間。
メイミは「ちょっと出かけてきます」という札を店にかけ、ゲドのいるであろう、城に接岸した(というのだろうか?)船へ向かった。
控えめなノックへの返事を待って、メイミは部屋に入る。
初めて入るゲドの、というよりゲド隊の溜まり場は、昼だというのに酒の匂いが微かに残る、荒んだ酒場のような雰囲気だった。
なにやら本を読んでいたらしいゲドが顔をあげる。
「どうした?」
歓迎もしていないが、拒否もしていない。その声にあるのは、純粋な疑問。
「あの・・・これ、食べて。」
メイミは自分のコックコートと同じ彩りの布につつまれた物体をゲドに差し出した。
「・・・何だ?」
「お弁当。」
「頼んだ覚えは無いが。」
「差し入れ。」
互いにそっけないやり取りをした後、ゲドはメイミから包みを受け取った。
中から出てきたのは、メイミの宣言通り、弁当箱。
その蓋を取った瞬間、ゲドの体が固まった。
ハンバーグ、そしてコロッケ、トマトにレタス。それ自体は別に問題は無い。
けれど、ハンバーグとコロッケはハート形に造形してあり、仕切りのレタスはセーフだが、彩りのトマトは、やっぱり微妙にハート型に細工されている。
究めつけは、白米の上に描かれた、ピンクのハートマーク。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
しばし、呆然としてゲドはその弁当の中を見つめていた。
メイミはゲドの表情に注目している。
「あ・・・嫌いだった?」
「い、いや、そういう訳では無いが。」
心持、焦り気味のゲド。
「アイサイベントウ、っていう料理なんだって?」
「・・・。」
黙るゲドを見て、メイミは段々と不安になってくる。
「嫌いなら別に食べなくてもいいけど。」
その言葉がきっかけになったかのように、ゲドはその愛妻弁当を一口、口に運んだ。
メイミのコックとしての腕は確かで、白米の焚き具合も、上に乗るでんぶの甘さも申し分無い。
不安と期待の入り混じるメイミの視線に、ゲドは片眼の視線を合わせ、頷いた。
「ああ。美味い。」
とたんにメイミの顔から緊張の色が抜ける。
でもどこか、がっかりしたような風でもある。
「やっぱり、形を変えただけじゃダメか。」
メイミは呟いて、なにやら頷いた。
「でも、これってどんなまじないなんだろう。一瞬、ゲドさんの顔色変わったのは確かだし。」
ゲドはひとつ息を吐いた。愛妻弁当という意味を、メイミは解っていないらしい。
「その形は、西の方では愛情を表す。
特別の愛情を込めて作った、という気持ちを形で表したのがこの、愛妻弁当だ。」
ゲドは、ハート型のハンバーグを器用に箸で掴んでみせた。
「ああ。そうなんだ。
でも、どの料理にも愛情を込めるのは、料理人の基本なんだけど。」
今ひとつ、解っていないメイミ。
「・・・・・」
もうちょっと深く説明するべきだろうかとゲドが熟考の上、口を開きかけた時。
「あ。そろそろ店が混む時間だから、私、戻る。」
突然メイミはゲドに背を向けた。
「おい?」
「あ、弁当箱は今度店に来る時にでも持ってきて。」
言うが早いが、メイミはすでに部屋を出る体勢だ。
ドアを閉める瞬間、メイミはゲドを見据えた。
「次こそ、負けません。」
次こそ、ゲドさんの顔色を変える料理を。
多分、今回はいい線に行っていたはず。
決意も新たに、メイミは次回のアイサイベントウの具を考えながら、店に戻った。
その後。
ゲドの元に差し入れされるメイミの料理は、クッキー1枚からおにぎりに至るまで、全てハートの形をしていたという。
その差し入れを見た時、そして一口食べた時のゲドの表情が、次第に微苦笑を浮かべるようになるまで、その差し入れ攻撃は続いた・・・と、後世の歴史家が語っていたかどうかは、定かでは無い。
了(2003.0416)
あああっ、またゲド受けじゃ無いぢゃないかっ!(苦笑) 落ちて無いしっ!(爆)
なんつーか、まず浮かんだのは、メイミに愛妻弁当(めっちゃハートの)を渡されて、呆然としているゲド。
そこからSSにしようと思ったのですが・・・
どうも、4コマ漫画、あるいは1枚イラストのほうがインパクト強くてグッドなんじゃないでしょうか?(苦笑)
メイミのしゃべり方って、ぶっきらぼうなはず。
けど、一応敬語は使う?とか、今ひとつメイミの口調に苦労してました。
ここからゲド受けに持ち込むには、差し入れ攻撃でもう、無理に口に詰め込む勢いなメイミとか。
料理人のプライドにかけて、ゲドの嗜好を知ろうとストーカーのごとく(をい)ゲドに付きまとうメイミとか?
ギャグ調なら色々いけるかもですね〜。
エースが出張るのは、それはやはり・・・愛?(笑)
使いやすいんだもん、エースって。
そして、どうでもいいですが、日本語タイトル好きな私がカタカナタイトル「ハートフル」
思いやり、とか暖かさという意味を持たせつつ(日本語英語? 家の辞典にハートフルって無かった)
実はハートがフルにある、な勢いだったり(笑)
ハート型クッキーを無理矢理口に押し当てられてるゲドって可愛いと思いません?(私は思う)