どんなことをしてみたいの僕に
「く…あぁ」
部屋に、抑えない友雅の嬌声が響く。
その声は甘く、艶めいて、鷹通を誘う。
鷹通は友雅の体中を丹念に愛撫していく。
友雅の、鍛えられた、無駄な脂肪の無いひきしまった体。
白過ぎず、かといって焼け過ぎてもいない、健康的な肌の色。
立ち上る甘く…それでいてどこか危険な香り。
どこも与えられる刺激には敏感で、軽く撫でるだけでも反応を返す。
「いいよ…鷹通…」
吐息と甘い声に、鷹通は酔う。
友雅の全てに触れたくて、味わいたくて、鷹通は友雅の体を何度も往復する。
首筋から鎖骨にかけて、舌を滑り下ろせば、友雅の喉がのけぞる。
自分と友雅を繋ぐ唯一のもの…龍の宝玉に舌を這わせれば、友雅の口から吐息が漏れる。
「あ…はぁ・・」
確かに自分が友雅を感じさせているのだという事実に、鷹通も高ぶっていく。
多分、今夜かぎり。きまぐれな月は、鷹通一人の物では無いのだから。
それでも、それだからこそ、もっと友雅を感じたい、感じさせたい。
鷹通は友雅の体を返し、背中に口付ける。
「ふふ…くすぐったいよ…鷹通…」
友雅の言葉を無視して、うなじにかけて一気に舐めあげる。
「・・ん・」
髪の生え際を丹念に辿れば、髪に焚き染められた香の香りに酔う。
「いいよ…鷹通…」
感じる部分で素直に出される声に導かれて、胸の突起を口に含んで転がす。
「もっと……」
鷹通は両手も使って、友雅を追いたてる。
いつまでも、いつまでも、その声を聞いていたい。友雅が望むなら、ずっと…。
「う…ぁ…」
すでに滴を滴り落としている友雅自身を鷹通はためらいもなく口に含んだ。
丹念に、舌を這わせて溢れる滴を舐めとっていく。
「た・かみ・・ち… もぅ・・いいから…」
友雅の声が切れ切れになる。
焦らすだけ焦らした体中への愛撫と、自身への刺激に、友雅も余裕を失っている。
鷹通はその声も無視して、執拗に友雅を追いたてる。
「か・・はぁ・・」
友雅の息がいっそう荒くなる。
鷹通は指で友雅の蕾の表面を刺激する。
「ダメ・・だ、たか・みち…」
友雅の足が、指先までピンと張られる。
鷹通はなおも入り口をくつろげ、そして中心に中指を滑り込ませる。
「んぁ…あっ…!」
友雅が体を硬直させ、熱く滾るものが鷹通の口内に満ちる。
鷹通はそれをすべて飲み込んだ。
友雅は荒い息のまま、ぐったりと横になっている。
鷹通は友雅の顔を覗きこんだ。
友雅はそれに気付いて薄く笑った。
「君と違って私は年寄りなのだから。あまり無理させないでおくれ。」
「申し訳ありません。」
鷹通は友雅の顔がよく見えるように、汗で張りついた髪を指ですくった。
「でも、まだ、でしょう?」
鷹通は友雅の顔を見ながら、指を友雅の中に潜らせた。
「くっ!」
友雅は痛そうに顔をしかめる。
鷹通はゆっくりと指を動かす。
「ふ・・ぁ…」
次第に、友雅の顔から苦痛の色が消える。代わりに現れるのは快楽に身を任せる愉悦の表情。
鷹通は友雅を見つめながら、指の数を増やしていった。
触れられてもいないのに、友雅の雄は次第に立ちあがる。
「鷹通……」
友雅はとろけたような眼差しで鷹通を見つめ、名前を囁く。
それが合図であるかのように、鷹通は友雅の足を開き、自らを友雅の中へと挿れようとする。
が。なかなか上手くいかない。
「君は…慣れてるのか、慣れて無いのか、よくわからない男だね…。」
友雅はくすくすと笑って、鷹通を横にさせた。
鷹通自身に手を添えて、ゆっくりと自らの腰を落とす。
「くっ」
「んっ!」
2人の声が重なる。
友雅は、ゆっくりと腰を動かす。
「あ…くっ…」
今度は鷹通から余裕の無い声が漏れる。
快楽を耐えるように、固く目を瞑っている。
「あ…友雅…殿…」
友雅が動く度にお互いに高められて。
「いいよ…鷹通…」
友雅が背をしならせる。
鷹通は友雅の腰に手をあてて、自らも突き上げる。
「友雅…殿…」
視界が白く霞む。目の前にいる人の名前だけが、自分を繋ぎとめる鎖であるかのように、お互いにお互いの名前を呼び合って…鷹通と友雅は共に達した。
翌朝、鷹通が目覚めると、友雅の姿はすでに無かった。
古参の女房が、友雅からの伝言を伝え、乱れた夜具を片付ける。
その手際のよさと慣れた様子に鷹通の胸は痛んだ。
月の映った杯を飲み干しても、月は自分の物にはならない。そんなことはわかっていたこと。
けれど、一夜限りの夢で片付けるには、身に残る感覚は生々しすぎて。
鷹通はうつむいて目を閉じた。
『どんなことをして欲しいの…』
友雅の声がよみがえる。
『私がうつむかずに、貴方と違う道を選び、そして貴方の隣に立てるだけの自信を持つことができたら…そしたら…』
鷹通は顔を上げて静かに目を開いた。
「貴方は、私を必要として下さいますか?」
鷹通の、小さな問いかけに答えるものは無い。
ただ漂うのは、主のいない部屋の中に残る侍従の香り。
了2000.0916
いやもう、「ごめんなさい」としか言えません。
唐突だわなんだかセリフに整合性無いわ終わりも中途半端だわ文章色っぽく無いわで。
突発的に書きたくなった割には難産でした。
どうしても落ち込む鷹通を慰めて励まして可愛がる方向に行ってしまって…(笑)
そんなに鷹通のこと好きか? ○久。 (どうやらそのようです)
というわけで、鷹通好きな○久の書く鷹通x友雅は、こんな感じになりました。
肉体的に攻めでも、精神的に受けっすね(^^;
思いっきり誘い受けの友雅が書きたかったのですが…ごめんね、友雅、上手く書けなくて。でも騎上位したし。私は満足(笑)
鷹通が友雅に思いっきり惚れていて(崇拝?)でも友雅は普通(この時点では) 体を重ねるのは平気。この友雅は娼婦っぽい設定で。帝相手もしてる。きっと。
完全に友雅視点というか、友雅サイドから友雅受けも書いてみたいけど…まだまだ精進が足りないようです。今回の話でさえ苦労したのに(苦笑) 友雅って奥深過ぎるんですよぉ。(いや、そこがまた好きなんですけどね)
なんだか変な出来になってしまったのに、懲りずにまた、突発的に書きたくなるかもしれません。
だってタイトルは岡村靖幸の曲からいただいてるのですが、他にもいい感じのタイトルあるんですよ。くすくす。
「イケナイコトカイ」と「19才の秘かな欲望」あたりは、是非書いてみたいですねぇ。
あ、曲の雰囲気とSSの雰囲気はまるで違います(笑) 思いっきりBGMにはしてましたけど(苦笑) 今回はサビから受ける印象を使わせていただきました。えっちぃんだ。
今回のバックがピンクなのは、この曲の入っているアルバムの色がピンクだからです(笑)
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