デュークとゲドの関係


 デュークはハルモニア辺境警備隊第十四小隊隊長。
 立場的にはゲドと同じ。でもって、ゲドをライバル視している。
 ただ、ライバル視しているのはデュークのほうだけで、ゲドはいたって静観。
 この人が33歳だという設定は、いかがなもんだろうと私は思う。
 もっと若いって。せめて25、6にしてみませんか?

 デュークはゲドをライバル視。
 特にゲーム中で理由は述べられていませんから、my設定は捏造し放題(笑)
 色々と、気になって仕方の無い存在ですね。
 そのくせ、ゲドには相手にされてない辺りがまた悔しく。
 腐女子的妄想の、格好の的でございます(笑)

 ゲドはデュークをあっさり無視。
 とは言いつつ、同じ辺境警備の小隊長ですから、それなりに評価してるでしょう。
 自分に突っかかってくる理由が自分では判らない。
 疲れる奴だ。と思いつつも、ちょっかい出される(?)のは、嫌では無いかもしれず。


 腐女子な私としては、デュークがゲドに片思いしてるようにしか見えません。
 ので、そのようなブツを。(苦笑)
 ただ、デュークは後にエレーンとくっつくノーマルな人なので、普通にゲイな(?)片思いにはなりませんでした。
 相変わらずダーク属性といいましょうか(苦笑) 平気な人だけどうぞです。
 かなり珍しいことに、一人称です。しかもゲド視点じゃなくデューク視点。
 どうしたんだ〇久。


呼応


 第一印象は最悪だった。
 まだ俺が親父の隊に入っていた頃。
 カレリヤの酒場で飲んでいた見慣れない奴に、親父は軽く声をかけた。
「よぅ、ゲド。」
 ゲドと呼ばれたその男は、黒ずくめの格好で、陰気な顔で酒を煽っていた。
 その隻眼が親父を、そして一緒にいた俺を一瞥する。
 俺に関しては、本当に一瞥だった。
 ちらりと見ただけで、全く興味無さそうに視線を親父に戻す。
「ああ。」
 ゲドは親父と簡単な挨拶を交わす。もう俺には目もくれない。
 視界に入っていないのだ。
 そう気づいて、物凄くむかついた。
 俺はその場を離れて、一人で別のテーブルについた。
 もちろん、視線は感じない。
 親父がわざわざ声をかけるのだから、腕は立つのだろう。だが・・・
『嫌な奴だ。』
 それが俺にとって、ゲドの第一印象になった。

 親父が死んでから、俺は自分の隊を持った。
 傭兵歴も長くなったし、親父以外の人間の下につく気も無かった。
 優秀な面子も揃った。
 実際、俺達は危険で高等なミッションも難無くこなした。
 小隊の中でも、ナンバー1、2を争う好成績。
 当然だ。そして、俺と第十四小隊の面々は一目置かれる存在になった。
 だが。

「よぉ、ゲド。」
 酒場で一人飲む、相変わらず黒ずくめの男に俺は声をかけた。
 ハルモニア辺境警備隊第十二小隊隊長、ゲド。
 十四小隊と十二小隊は、仕事の達成率でほぼ対を張る。
 同じように、少数精鋭の構成をしていて、選ぶ任務も似ている。
「・・・ああ。」
 ゲドは俺を一瞥して、そして視線をグラスに戻した。
 まただ。いや、まだだ、と言うべきか。
 ゲドは俺を見ない。俺を視野に入れない。
 同じ立場に立っても、同じほど任務をこなしても、同じ場所にいても。

 ただ、どうやらそれは、俺に限ったことでは無いようだった。
 ゲドは誰も見ない。誰も視野に入れない。
 無意識なのか、意識的なのか、人を拒絶している。
 傭兵なんて奴は、多かれ少なかれ社会からはみ出した者がなるもんだが。
 ゲドは異質過ぎる。
『お高くとまりやがって。やっぱ嫌な奴。』
 俺の中でのゲドの印象は、ずっとそんな感じだった。




 色々あって、妙な連合に所属することになった。
 そこで、今まで知らなかった、ゲドに関しての情報を得た。
 奴が真の27の紋章のひとつである、真なる雷の紋章の継承者であること。
 長い時を生きていること。
 50年前の、炎の運び手と呼ばれる集団に属し、炎の英雄のサポートをしていたこと。
 ・・・今は、真なる雷の紋章を奪われて、死に近いこと。

 妙に納得した。
 どうりでゲドは誰も見ないはずだ。
 そんな、世界の創生に携わる紋章などを継承して、長い時を過ごしていたら、回りの奴らなど、実力的に塵芥だろう。
 俺が宿す雷の紋章の威力など、ゲドからみれば子供だましの手品のレベルだったわけだ。
 独りでいたのは、孤独では無く、孤高。
 俺のような普通の人間では至ることの出来ない境地に、奴がいる。
 だから俺を見なかった。
 嫌な奴だ。どうしようもなく。
 そんな場所まで行ける訳が無いじゃないか。
 いつまでも、ゲドは俺を見ない。俺を評価しない。俺を・・・必要としない。

 真なる紋章を無くしてさえ、ゲドは俺に助けを求めなかった。
 長年その身に宿していた真なる紋章を奪われて、数限りないモンスターに襲われて、限界だったはずなのに。
 もう、俺と同じ、普通の人間だったはずなのに。
 どうして、俺を見ない。俺を必要としないんだ。
 嫌な奴だ。本当に。


 本拠地に河岸を移して数日。炎の英雄であるヒューゴってガキが出かけているので、俺達は特に何をするでもなく、城の中をうろついていた。
 傭兵なんていう職業の性で、つい抜け道や隠し扉なんて探しちまう。
 結構広い城内は探索のネタが尽きない。
 適度に湿って薄暗い地下2階なんかは俺のお気に入りで、長い時間をそこで過ごしたりもする。
 そんな時、ゲドが俺の前に姿を見せた。

「・・・キッドはいないのか?」
 牢屋に本だのを持ちこんで探偵気取りのキッドは、今も、誰かの調査と称して城内をうろついているに違いない。
 さっき、目を輝かせて廊下を走り去っていったから、しばらくは戻らないだろう。
「ああ。現在調査中、ってやつだ。」
 俺が答えると、ゲドは何か考える風に黙り込んだ。
 炎の英雄という言葉に、その存在に、こいつは弱いのだろう。
 何くれとなくサポートをしていると聞いた。
 キッドに城内の人間の動向を聞いているのもゲド自らの行動らしい。
 多分、部隊編成の時に助言なんかするのだろう。
 回りに興味を覚えないこいつが。俺を見ないゲドが、炎の英雄というだけで、ヒューゴなんていうガキを構う。
 面白く無い。

「少ししたら戻ってくるぜ。こっちの牢屋で待ってたらどうだ?」
 俺は片手で自分の後ろの牢屋を示す。
 こっちの牢屋は誰にも使われていない。まぁ、そんな酔狂な奴はキッドくらいのもんだろう。
 一応、ベッドもある。
 ゲドは気づいていないかもしれないが、今のゲドの顔色は最悪だ。
 多少聞きかじった情報によれば、真なる紋章を身につけていた時間が長ければ長いほど、反動も酷く、残りの命も短くなるという。
 当然、ゲドは激痛に苦しんでいるはずだ。
 だが、ゲドは苦しそうな様子を見せない。
 見せないことにしたのだと推測が出来るから、あえてゲドを誰も止めない。

「いや、出なおすことにしよう。」
 そう言ってゲドは踵を返した。
 その途端によろける体。
「おい。」
 俺は慌ててゲドの体を支えた。
 腕にかかるゲドの重さと体温。
 自分がゲドを支えているという事実に、何故か慌てる。
「済まん。大丈夫だ。」
 すぐにゲドはバランスを回復し、俺の腕から抜けた。
 軽くなる腕に、物足りなさを感じる。
 やっと、手に掴むことが出来たのに。
 やはり、ゲドは俺を必要としない。
 嫌な奴だ。嫌な奴、嫌な奴、嫌な奴。

「全然、大丈夫じゃねぇよ。」
 俺はゲドの腕を掴んで引っ張った。
 案の定、力の入っていないらしいゲドの体は、簡単に引き寄せられて、俺の腕の中に倒れこむ。
 いい気味だ。
「そんなフラフラして歩き回られたんじゃ、迷惑だ。士気も下がるってもんだろ?
 休んでる姿を見られたく無いってんなら、とっておきの場所がある。」
 俺は半ば強引にゲドの体を引っ張って行く。
 空いている牢屋の中の、崩れた壁。
 人一人が四つんばいになってくぐるのが精一杯のその穴を指し示す。
「そこ、隣に繋がってるから。」
「・・・」
「自分の部屋に辿りつく前に倒れそうな顔色でこっち見られても説得力がねぇなぁ。」
 苦虫を噛み潰したような顔をしてるゲドを促す。

 穴をくぐって出たのは、隣の牢屋。
 ただし、改築の際に間違えたのか、鉄格子の外は、壁。
 どこにも出入り口が無い。
 隣の牢屋から、おそらく脱獄目的で壁を掘った奴は、この牢屋に辿りついてさぞやがっかりしたことだろう。
 閉鎖されてかび臭かったその牢屋を、俺はちょっと気に入って、多少だが掃除なんかもしておいた。
 秘密基地っていうのは、まぁ、男なら誰しも持ちたいもんだよな。
 その牢屋のベッドに、ゲドを腰掛けさせる。
「すげー顔色してるぜ。辛いなら、少し休め。」
 実際、ゲドの顔色は蒼白だ。
「・・・」
 ゲドは黙って目を瞑る。耳を澄ませば、浅い呼吸音が聞こえる。
 絶対に、いつものゲドと違う。
 激痛が体を襲っているはずだ。本来なら、苦しさに息も出来ないはずだ。
 なのに、目の前のこいつは助けを求めない。
 誰にも。
 俺にも。
 ただの人間、という、同じ立場に立ってもなお、ゲドは俺を見ない。俺を必要としない。
 ・・・誰も必要としない。おそらくは、炎の英雄以外、誰も。
 嫌な奴だ。
 俺がこんなにがんばってるのに。・・・って、おい?

 俺は、自分の感情に自分で驚いた。
 今の考えは何だ?
 俺がこんなにがんばっているのに・・・ゲドは俺を見ない?
 俺は、ゲドに認められるためにがんばってきたわけじゃ・・・
 けど・・・
 俺は目の前のゲドを見つめた。
 ゲドはベッドに腰掛けて、背中を壁にあずけている。
 相変わらず呼吸は浅い。顔には疲労の色が見える。
 今は黙って目を閉じている。体力回復に努めているんだろう。
 その目が開いたとしても、俺を見ることは無い。
 それは、悔しい。 それが、悔しい。

 ・・・・・
 何だろう、この感情は。
 ゲドは嫌な奴だ。何故ってそれは、俺を見ないから。
 それはつまり、俺は、ゲドに俺を見て欲しいということ。
 何度戦いを挑もうが、仕事で優位に立とうが、ゲドは俺を見なかった。
 ムキになるのは俺だけで、いつもゲドは俺を軽くあしらってきた。
 俺を認めなかった。俺を必要としなかった。俺を見なかった。
 嫌な奴だ。悔しい。嫌いだ。なのに無視は絶対に出来ない。
 気になって気になって仕方が無くて。
 俺を見て欲しい。俺を認めて欲しい。俺を必要として欲しい。

 嫌な感情だ。まるで・・・
 俺は再度、ゲドを見た。
 黒くて長めのうっとおしい髪。こけた頬、太い眉。
 傭兵として申し分の無い筋肉を持つ、しっかりとした体つき。
 どこからどうみても、中年の男。
 惹かれることなどあり得ない。
 たとえ、強大な魔力を兼ね備え、深い知識と経験を持ち、人を従わせるカリスマ性を持っていたとしても。
 真なる紋章を引いて考えても追いつけない場所にゲドがいるとしても。
 この男に、惹かれているわけがない。

 ゲドの片目は前髪と眼帯に隠されている。
 体の一部を失った奴など、傭兵には吐いて捨てるほどいる。
 ガウだって隻眼だ。
 その不利を補えるほどの実力を持つ奴はこの世界に留まって、そうじゃない奴は去って行く。
 この世界にいる奴で、隻眼だからこそ、その目はいっそう鋭く、全てを見通す。
 そして、ゲドがその目に映すのは、同じレベルの存在だけなのだろう。
 漆黒の瞳に、自分は映されない。
 ずきりと、心が痛んだ。
 嫌な感情だ。
 漆黒の瞳が、俺を見たら。低い声が、俺を呼んだら。その腕が、俺を求めたら。
 体が熱くなった。
 嫌な感情だ。
 俺を必要とさせたい。それが、例えば戦いの場所で無かったとしても。
 見て、呼んで、求めて。
 嫌な感情だ。

 俺はゲドに近づいた。
 薄く開かれた唇から目が離せない。
 心臓が俺に似合わないリズムを刻んでいる。
 体の血液が逆流している感覚。
 馬鹿なことをしようとしている。
 頭では判っているのに。理性は止めているのに。
 嫌な感情だ。

 俺の腕が勝手にゲドの肩を掴む。
 驚いて目を開くゲドを、力づくでベッドに押さえ込む。
 無我夢中で、口付けていた。


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 続くっすか?(苦笑)
 なんだかここまでで充分長いし、こっから質違うし。(苦笑)
 とりあえずわけてみました。

 嫌よ嫌よも好きのうち、というのは信じませんが、「嫌い」という感情が「好き」の感情の裏返しなパターンもある、というのなら信じます。
 好きというのは、気持ちがプラス方向に伸びてる状態。
 嫌いというのは、マイナス方向なわけですが、それでも、矢印は、気持ちの大きさは存在するんです。
 無関心だとプラスマイナスゼロ。気持ちの向けようが無い。

 デュークがゲドに構うのは、やっぱり何かしらの感情のベクトルをゲドに対して持っているからで。
 腐女子的に利用してみました。(苦笑)

 あ。もちろん、この牢屋は架空の存在です。
 こんなのがあっても面白いなーと。
 ていうか、さすがにあの場所で始めると、やばいだろうとか。(爆)



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